杉浦邸
知人の紹介により、五月雨のなか、その寿命を全うしようとしている邸宅の見学会に参加しました。
白井晟一は私の建築を学んだ経験のなかでは歴史上の人物です。しかし、子供のころ通った地元の書店は彼の設計でした。その空気感は他の建物とは異なり、建築としてそこに存在していました。この見学会は、あの空気を思い起させました。
凛とした佇まいは近年の建築では少なく、洗練されたディテールとスケールの扱い方にただただ感動してきました。
設備などには古さを感じずにはいられませんが、生き生きとした空間はまったくもって美しいものでした。
軒先に滴る雨水の音、薄曇りの空からの軟かな光が、現代数寄屋の光と影の世界を見事に演出していました。
白井晟一のクレジットは公表されていない建物だそうです。持ち主の意向により解体が決まっているそうです。
残念です。貴重な体験をさせていただいた日となりました。
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