展示ケースの電源はどこから


根津美術館の展示室にてずっと考えていたディテールがありました。

 

展示ケース、そのなかでも展示室中央に自立しているいくつもの展示ケースに興味が湧きました。4面のどの方向からも展示物を見せられる中央の展示には壁面の展示ケース以上に細かな納まりの検討が必要とされるはずです。裏がないのですから。

 

そこにあったケースは四角い台の上に展示物が置かれ、その周り4面がガラスで囲まれて、蓋にあたる部分が照明を組み込まれて乗っています。残念ながら展示室内は撮影禁止で、写真は載せれられませんから、言葉での表現で精一杯です。見学者は展示物をじっくり眺め、説明書きを読んでいました。でも私はこのケースでふと足を止めました。この照明、電源をどうやって確保しているのでしょう。

 

天井からケーブルを下げるなんて、汚い対応は当然しません。床に蓋付きのコンセントがほかの場所にみられるので、この展示ケース下にもあることは想像できます。でも展示ケースの台と蓋の間はガラスだけ、ケーブルを通す管も見当たりません。LED照明でバッテーリーを蓋に隠しているのでしょうか。でも展示中にバッテリー切れは避けなければならない。いくつもの展示室を回りながら、中央のケースに目が行きます。そして見つけました。

 

ガラスとガラスを留めるにはガラスシール材というものでお互いを固定します。展示の背面にあたる一つのコーナーのガラスシール材の足元に細い線が見えました。ガラスシールの中に電線を埋め込んでしまっていたのです。ガラスシールは透明ですが、光の屈折か、中に入っている線は見えません。見事でした。

 

でも台と蓋が線でつながっているガラスケースで、展示物の入れ替えはどうやるのでしょうか。また疑問が湧きましたが未解決です。